高校生2ヵ月間海の上!(その3)〜荒れ狂いうねる波!ベーリング海の恐怖!

  • 2021年1月7日
  • 2023年1月29日
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【7の巻】悪魔の大しけ。波はハンパ無い!

 

 

 

出航してからどれくらい経ったか・・・

 

しばらくの航海ののち、私達はいよいよ
ベーリング海
に差しかかりました。

 

 

前回は全13の巻からなる4〜6迄をご紹介
いたしましたが今回はいよいよ海の難所
と恐れられている「ベーリング海」での
出来事、7〜9までをご紹介いたします。

 

1の巻 海洋実習とはなんぞや?
2の巻 生まれて初めて五分刈りに・・・
3の巻 持ち込み検査
4の巻 いざ出航!
5の巻 海水の風呂は真っ赤?
6の巻 ベーリング海は不気味
7の巻 悪魔の大しけ。ハンパ無い波!
8の巻 操業は意外に楽しい
9の巻 シャチが!!
10の巻 ロシア水域で友達ピンチ!
11の巻 タバコを吸ってバレた友人!
12の巻 釧路港に上陸!夢にまで見た陸!
13の巻 函館港に帰港 ~実習修了

 

 

波いる世界の「荒くれ船乗り」たちでさえ
恐れられている海、ベーリング海

 

それでも最初は波もおだやかで割と静か。

 

[まぁ  ベーリング海といっても普通の海]

 

というのが最初の印象。

そりゃそうですよね。海は海ですから。

 

そんなある日のことでした。

ここまでの航海で[シケ=波が荒い状態]
幾度か体験してきた私たち同級生ですが

・・・・・

それは間違いだと
思い知らされることになります。

 

私たち高校生が今まで経験してきた様な
しけ、これでも私達なりに幾度も荒波を
乗り越えてきたという自負でさえも・・

 

「その程度のしけなんて、可愛いもんだ」
と、まさにあざ笑うような・・・・

 

 

ベーリング海の容赦ない波が

 

牙をむきます!

 

 

私達は次第に勢いを増してくるシケの中
でしたので操業を早めに
終えて風呂にも
入り、大波に揺られるなか
夕食のために
食堂に向かいました。

 

大きな揺れの最中ではありますが3度の
食事は厳しい船の中での数少ない楽しみ
のひとつです。

 

とはいえ、なかにはシケによる船酔いが
ひどく真っ青な顔でとても食欲など無さ
そうな様子で食堂に向かう仲間もいます。

 

友の体調を気遣ったり時にはバカな言葉の
一つも投げかけて慰め合います。

 

そんな状況のなか真っすぐ歩けない程の
”大シケ”にも負けず、全員ようやく席に
着きました。

テーブルには賄い(まかない)担当の
船員の方が、丹精込めて作ってくれた
本当に美味しそうな料理がキレイに
並んでいます。

 

皆で「いただきます」と唱和して食事を
初めて2分くらい経ったでしょうか・・

 

 

それまでの揺れとは明らかに違う・・・

 

急に、今までにないくらいの勢い
いきなり船が大きく傾きテーブルの上の
ごちそうや味噌汁などが皿もろとも一瞬
キレイに無くなってしまいました!!

 

まるでF1レースのクルマが通り過ぎたか
のごとく、右から左に見事に片づけられ
てしまいました・・・・

 

 

そして同時に冷蔵庫のフタがバーン!
全開し、缶ジュースなど一斉に脱走!

 

夕食開始からわずか2分ばかりで海の神様
から強制的に告げられた「ごちそうさま」
・・・

 

・・・  一同、箸を持ったまま唖然として
スッキリ綺麗になったテーブルとガラガラ
転げ回る缶ジュース, そして胃袋に収まる
ことなく無残にも床に ”ぶちまけられた”
残骸を見つめるばかり・・・・

 

軽いため息をひと息ついたあと、まるで
申し合わせたように無言のままうつ向き
床を片付け始めるのでありました。

 

せっかくの「ごちそう」が・・・

 

ベーリング海、恐るべし! です。

 

 




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【8の巻】操業は意外に楽しい

 

 

 

 

そんな大変な状況ではありましたがここに
来た目的である操業そのものに関しては
意外に楽しいものでした。

 

寒い中ではありましたが延縄(はえなわ)や
流し網でかかったサケ・マスを扱う作業は
私たちを夢中にさせてくれ、それなりに
やりがいも感じられたものです。

 

なかでも流し網にかかったサケ・マス
引っこ抜く作業はうまくやらないと魚に
傷がついてしまうため、それを扱う人に
よっては作業がはかどらなかったりと
差が出てしまいます。

 

ただし一度コツを掴んでしまえば面白く、
私などはスポンスポン綺麗に引っこ抜き、
乗組員の方々から褒められたものです。

 

持ち前の[器用貧乏]も手伝い、乗組員の
方からいろいろな作業を任された事など
もあったおかげで操業がいっそう楽しい
ものになりました。

 

 

「進歩」が感じられる時ほど楽しい!

 

 

人間、誰しも出来るようになったり、
そして生きがいを感じられますよね。

 

操業を続けるうちにサケ・マスを見慣れて
くるので種類もすぐに見分けられるように
なり、高級かそうでないかなど瞬時に判断
出来るようになるなど、自分なりに関心を
持って作業することが時間を忘れさせて
くれることに繋がりました。

 

それでも友人達のなかには船酔いがひどく
なかなか作業に入れない者もいて、彼らに
とってはただの地獄でしかなかったのでは
ないかと気の毒に思ったものです。

 

 

酔い止めなどは効くのはほんの最初だけで
これだけ激しいシケが何日も続くとあとは
気休めにしかならない・・・などと友達は
嘆いていましたがその通りでしょう。

 

長距離バスに乗って酔ったのとは
訳が違うのですから・・・

 

乗り物に酔いやすい体質や、わたしの様に
ジェットコースター等の絶叫系の乗り物が
得意ではないなど人それぞれなのでこれ
ばかりはどうしようもありません。

 

もうここまでくると薬では解決できず、
自分で何とかするしかありません。

 

そう、慣れるしかないのです。

 

 

 

【9の巻】 シャチが!!

 

 

各生徒たちは操業以外にも「ワッチ」
いって他船や漂流物などを監視する当番も
こなします。

 

このワッチという監視作業は操舵室などが
あるブリッヂ(船橋)と呼ばれる部屋から
双眼鏡などで周辺を監視します。

 

[タイタニック号] での氷山への衝突による
沈没事故は、皆さんもよくご存知のこ
とと
おもいますがまさに「ワッチ」で早期発見、
障害物からの早期回避が安全航海のための
鉄則です。

 

タイタニック号の事故は1912年の時代で
起こった事故ですが、2021年を迎えたいま
の時代においてもヒューマンエラーによる
海難事故は跡を経ちません。

 

民間の船舶のみならず自衛隊の船が漁船と
衝突する等のニュースは珍しく無いです。

 

こんなに広い海なのにわずか一隻ずつの
船と船どうしがぶつかる確率って・・・

 

そんな背景もあることから「ワッチ」は
非常に大切な任務なのです。

 

 

ですから、まさに責任重大!

 ・・・・ただ・・それでも

 

強風荒れ狂う波しぶきがかかる外の世界
とはちがい、ブリッジは室内です。

 

ぽかぽか暖かいうえに日頃の労働の疲れ
もあり、じ〜〜〜〜っと立ったまま海を
見つめていると・・・

 

(´-`).。oO

(u_u)

(O_O)!

 

・・・・

 

 

(´-`).。oO

(-_-)zzz

 

(( _ _ ))..zzzZZ

 

あたかも誰かに睡眠術をかけられたかの
ように、いつの間にか記憶がブッ飛んで
いる事もしばしば・・・

 

そんな睡魔とのし烈な戦いを強いられる
事もありますが、時折り眠気を覚まして
くれるのが海の生き物です。

 

滅多に出くわさないクジラの影が見えて
船の下を通過したときは、

 

「どうかぶつかってくれるなよ!」

 

と祈ったりしてヒヤヒヤしたものでした。

 

でも一番の興奮は野生のシャチの背びれ
見え隠れした時です。

 

なんせ海の動物といえば今までは水族館で
イルカやアシカ、ペンギンなどのカワイイ
動物しか見たことがない。

 

それが「野生」の、しかも海のハンターと
恐れられるシャチがそれこそ優雅に堂々と
自らの力を誇示するかのように、大〜きな
背びれを見せているのですから。

 

 

それを見た船長が冗談でマイクを持ち、

”いま海に落ちたらシャチの餌になるぞ~”

 

と、外で操業している連中に向かって
笑っていたこともいい思い出です。

 

また、朝のラジオ体操のときに
イルカの大群が船と一緒に泳ぎ、
飛び跳ねながらついてくるなど
貴重な体験もできました。

 

もう何頭いるのか分からないくらいに
船の後ろ、横を取り囲んで楽しそうに
ジャンプしながら遊んでいます。

これには思わず、当時巷ではやっていた
使い捨てカメラの [
写ルンです] で何枚も
写真を撮ったものです。

 

 

そして何より自分たちが寒さや眠気に耐え
ながら苦労して引き揚げたサケ・マスを
食べられる幸せ。

 

賄いの方が皆のために厨房で腕をふるい、
刺身・ムニエル・焼き魚・煮物、そして
チャンチャン焼きなど様々な種類の料理
で私たちの舌を楽しませてくれました。

 

なかでも日本でめったに食べられない
マスノスケ(英名:キングサーモン)
新鮮な刺身として食べられたことは至福の
ひとときでした。

(それにしても酒飲みたかったな~)

 

さて、次回はいよいよ最終章であります

「10〜13の巻」です。

 

長い航海もあとわずか。

 

陸に上がる日も近い!

 

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