高校生2ヵ月間海の上!(最終章)〜ロシア水域で友達ピンチ!そして帰港へ!

  • 2021年1月9日
  • 2023年1月29日
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【10の巻】ロシア水域で友達ピンチ!

 

 

 

全4回に渡る「海洋実習」記事ですが
今回がいよいよ最終章。

 

長かった実習もあと僅かというところで
クラスメイトに異変が!

一体何が!?

 

最終章の記事は残りの10〜13の巻です。

 

 

1の巻 海洋実習とはなんぞや?
2の巻 生まれて初めて五分刈りに・・・
3の巻 持ち込み検査
4の巻 いざ出航!
5の巻 海水の風呂は真っ赤?
6の巻 ベーリング海は不気味
7の巻 悪魔の大しけ。ハンパ無い波!
8の巻 操業は意外に楽しい
9の巻 シャチが!!
10の巻 ロシア水域で友達ピンチ!
11の巻 タバコを吸ってバレた友人!
12の巻 釧路港に上陸!夢にまで見た陸!
13の巻 函館港に帰港 ~実習修了

 

 

海洋実習も3分の2を消化したあたりで
ある仲間に異変がおきます。

 

急に具合がわるくなり、あろうことか
高熱が出てこれが数日間続いたのです。

 

氷枕やクスリを飲ませるなどいろいろ手を
施しましたが専門の医者はおりません。

 

 

ましてや船の中ですから病人に施せること
には限界があります。

このまま回復が見込めない場合は人命に
関わるために近くの港に [寄港] する必要
があると船員のかたから説明がありました。

「寄港!?!?!?」

 

私たち悪ガキどもはその「寄港」という
甘〜〜〜い 言葉に敏感に反応!

 

「寄港・・・・・って、
港に寄るって事だよな!」

 

もちろん不謹慎とはじゅうじゅう承知して
いましたが、そこは若輩者。

 

ただの風邪だと分かりきっていた事もあり
それほど深刻には考えてはいませんでした。

 

仲間の苦しみをよそに・・

 

 

悪ガキA
「ロシアの港についたら上陸できるのかな?」

 

悪ガキB
「ロシア人の女ってキレイだっていうよな?」

 

悪ガキC
「円¥しか持ってないけどルーブルに交換できるのか?」

 

悪ガキD
「母ちゃんにマトリョーシカ買ってやろ」

・・・などと勝手なことばかり想像して
盛り上がったものです。

 

そんな雰囲気だから具合の悪い友達に
対しては、ちょっと ”違う意味”で
「がんばれっ!!」と励ましたりして・・・・・・・

 

しかし、・・・・・いやいや、幸いにも
結局のところその友達は熱も下がり始め、
順調に体調も回復したことから
「ロシア上陸!」は夢に帰したのでした・・・・・・・・・・

 




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【11の巻】タバコを吸ってバレた友人!

 

 

長い実習期間のなかで食事のほかに楽しみ
といえば映画のビデオを観ることでした。

 

乗組員の方達がさまざまな映画やドラマの
ビデオテープを持ってきて、私たちが自由
に観られるように用意してくれたのです。

 

食堂にテレビとビデオが備え付けられて
おり、休憩時間であれば自由に観ることが
できました。

中でもジブリ映画が人気でしたね。

 

今と違ってネットなどの通信インフラが
充実していなく、船の上ではワンセグ等
リアルタイムのテレビは観られない状態。

 

それだけに海以外の景色が見られる小箱、
ブラウン管の世界は私たち生徒にとって
非常にありがたいものでした。

 

その他の息抜きとしてはトランプ、
マージャンなど。

 

もちろんマージャンと言っても本物のパイ
は、かさばるし持ち込めない為コンパクト
な棒にマージャンパイの模様が刻まれて
いる簡素なもので楽しんでいたのです。

 

そしてもちろんただ健全に遊ぶわけでは
なく、ご多分にもれず賭けに興じていた
のはいうまでもありません。

 

船の中ではお金を使うことはないので
もっぱら現物が賭けの対象となります。
(もちろん時にはお金もですが)

 

タバコ、炭酸飲料、大人の本、お菓子、
アメ・ガム、チョコレート、などなど
様々なものが賭けで飛び交いました。

 

そして何といっても息抜きといえば我ら
の嗜好品である一服タイム。

そう、タバコです。

 

これは喫煙者にとって「たまらん!」
ひとときでした。

 

私たちの寝室は二段ベッドになっていて、
部屋には換気扇もありましたのでそこに
顔を近づけて煙を吐き出していました。

 

煙くなるとバレますからね。
(その前に臭いでバレるか・・・)

 

そんなある日のこと・・・

事件が起きました!

 

帰りの航海中にある仲間がいつも通りに
タバコをふかしているところ、なんと!

 

たまたま用事があって生徒たちのいる
寝室エリアに降りてきた担任の先生に
見つかってしまったのです!

 

 

生徒たちの寝室エリアには先生はおろか、
乗組員の方たちさえほとんど「ゼロ」と
いっていいほど来ることなど無いのに、
です。

 

何と運の悪いこと・・・

 

たまたまその友達は単独でタバコを吸って
いたので一人きりの現行犯で見つかり、
こってり絞られていました。。。。

 

滅多に先生が来ることはないのに本当に
運が悪かった・・・・・しか言いようが
ありません。

 

そして下された処分は、下船後の停学
はもちろん、船内での「五分刈り」
命じ
られたのです。

 

出航からもう2ヶ月近くも経っていれば、
さすがに五分刈りにしていた髪の毛も
ある程度伸びている状態です。

 

あと数日で実習が終わるというところで
その仲間は、「再び五分刈りに逆戻り」
となってしまいました。

 

 

【12の巻】釧路港に上陸!~夢にまで見た陸!

 

 

長~~~い実習からようやく北海道近海に
近づき予定していた一時上陸を迎えました。

 

夢にまで見た「陸」です。

 

出航から約2ヵ月間、陸地どころか島の影
そして他の船すら見ていない状態。

 

景色といえば海面と一部の動物しかみて
いない状態だったので陸地が見えたとき
悪ガキは皆で大騒ぎでした。

 

しかも上陸して「揺れない地べた」を
この足で歩くことが出来る。

そして船の人以外の「誰か」を見たり、
会えるという事はこの上ない喜びでした。

 

そして船の中では役に立たなかった、
「お金」を使えることですね。

 

 

 

お金を使えるっていいな!

 

とはいってもお金を使えることそのものが
いいのではなく、今まさに「自由」
ということがモノ凄く贅沢であるという
喜びなのですっ!

 

なにせさっきまでは船の中にある物でなん
とかしなければならなかったですが、陸に
はお店があっちこちにあるので選び放題。

 

私たちは約2ヶ月ぶりの陸の上となるこの
「釧路という楽園」にも感じる港周辺
で束の間の休息を満喫しまくりました。

 

わたし個人としては「釧路」という街は
初めてだった事もあり何もかもが珍しく、
お土産を買ったり食堂に入って地の物を
お腹一杯に食べました。

 

普段の「あたりまえ」の生活がこんなにも
「ありがたい!」ものなのかと
心底感じたものです。

 

ついさっきまで苦労を共にした友人たちと
はじめて歩く釧路の街は、とてもキレイな
ものでした。

 

特に「幣舞橋(ぬさまいばし」
北海道三大名橋として有名で 、中でも
夕日の絶景スポットとしては絶品です!

 

 

オレンジ色の夕日が海に溶けていく様が
とても素晴らしく最高のロケーションと
いえます。

 

時間があれば釧路湿原などの観光や食べ
たいものはたくさんある、また来たいと
思わせられる良い街でした。

 

 




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【13の巻】函館港に帰港 ~実習修了

 

 

それからほどなく、とうとうわが母港で
ある「函館港」に帰港する日
となりました。

 

2ヵ月に及ぶ海洋実習を終えて、懐かしい
いつもの ”高校生活”
に戻れるのです!

 

われわれ生徒達は感情が高ぶり、そして
張り切って最後のワッチや掃除当番等を
生き生きとこなすと共に、帰ってからの
事を想像しながら身の回りの私物などを
整理しはじめていました。

 

終わりが見え、もはやここまでくると
あんなにも「ウンザリ」していた海の
景色も「希望の海」でしかありません!

 

なんて綺麗なのでしょう♪

 

しかも帰港する日は8月中旬なので
このまま夏休み突入です。

 

 

ビールが飲みたい、彼女に会いたい、
こそこそしないでタバコを吸いたい、
マージャンやりたい、ゲームやりたい、
ラーメン喰いてー、ジンギスカンも
喰いたい、広い布団でゆっくり寝たい、
ちゃんとした風呂に入りたい・・・・

 

などなど、
みんなやりたい事のオンパレードです。

 

港では見送りの時と同様に生徒の家族だけ
でなく学校関係者などたくさんの人たちが
出迎えてくれました。

 

まるでヒーローになったような気分。
(何もしてないけど)

 

私たち生徒は下船の際に、自分達が苦労を
して・頑張って引き揚げたサケを丸々2本
(内臓を抜き
塩漬けにして保存したもの)を
家に持ち帰ることが出来ていいお土産に
なりました。

 

出航前に比べてちょっとだけたくましく
なった私たち生徒たちは船のタラップを
意気揚々と降りて・・・

 

ついに!
長かった実習の修了です。

 

生徒みんなの髪が出航当時の「五分刈り」
から中途半端に伸びて不揃いのカッコ悪さ
はありました。

 

・・・・が、

 

そんな中ただ「1人の生徒」だけ、
とぉ〜ってもキレイに刈り上げられた
「五分刈り」の姿が。

 

そう、ただ一人 タバコを吸っている
ところを見つかってしまった〇〇君です。

 

そんな〇〇くんに向かい、

「おい〇〇、何でお前だけ髪が伸びてないんだ?」

 

と聞く出迎えの先生の言葉にちょっとだけ
笑ってしまいました・・・

 

 

 

おわりに

 

 

私たち生徒は2ヶ月間という長きに渡り、
しかも海の上に浮かぶ船という限られた
スペース、限られた条件のなかで貴重な
体験をしました。

 

これは卒業後に船乗りにならない限りは
2度と経験できないものです。

 

操業している中で、ワッチしている中で、
掃除当番・食膳手伝い、そしてベットに
入って仲間たちと語らうなかで、様々な
気付きや辛い経験、嬉しい・楽しい事や
思いがけないやさしさに触れることも
ありました。

それらは全て今の自分の生きるうえでの
宝物になっています。

 

海洋国  [日本] の将来を担う若者達の中に
今この時も全国の水産高校で学んでいる
生徒たちもいることでしょう。

 

海洋事情も昔とは大きく変わった昨今では
ありますが、コロナに負けずに日本の海洋
事業やその他分野でその若き力を発揮して
輝いてくれることを祈っております。

 

 

 

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